気心きごころ)” の例文
旧字:氣心
こんな風にして、ビレラフォンとその不思議な馬とは数日を過ごして、日一日と、互に一層気心きごころも分り、よけいに好きになりました。
そこで、気心きごころの知れたお客さまには、じゅうぶん見せびらかすことができるように、こんな大げさな装置を考案したわけです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ちいさな、よわいとこなつのはなは、どうして自分じぶんから、この気心きごころのわからない、なんとなくむずかしそうにえるいしかってこえをばかけられましょう。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなふまじめなことを言ってはいかんよ、君たちのように前から気心きごころも知れば、お互いの理想も知っているのだから、苦情くじょうの起こりっこはありゃしないよ。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
部屋をもたない者はないわけではなかったが、気心きごころもわからない人たちがはいって来て、同じ屋根の下に住むということを考えると、つい心がすすまなくなるのだった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
供のシナ人は堀部君の店に長く奉公して、気心きごころのよく知れている正直な青年であった。彼は李多リートーというのが本名であるが、堀部君の店では日本式に李太郎と呼びならわしていた。
雪女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お光さんもうれしがるだろう。——東京の者は気心きごころが知れないから私はいやじゃ。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)