“比(ころほひ)” の例文
人々出合ひて打騒(うちさわ)ぐ比(ころほひ)には、火元の建物の大半は烈火となりて、土蔵の窓々より焔(ほのほ)を出(いだ)し、はや如何(いか)にとも為んやうあらざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
再び上(のぼ)つた比(ころほひ)には、もはや起行することが出来ぬので、蒲伏(ほふく)して往反(わうへん)した。そして昏々として睡つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
狂女は果して来(こ)ざりけり。歓(よろこ)び酔(ゑ)へるお峯も唯酔(ゑ)へる夫も、褒美貰(もら)ひし婢も、十時近き比(ころほひ)には皆寐鎮(ねしづま)りぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
茶山が江戸に抵(いた)る比(ころほひ)には、蘭軒の疝積(せんしやく)も稍おこたつてゐた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)