毒口どくぐち)” の例文
二十面相が、どんなに毒口どくぐちをたたいたって、なんともありません。最後の勝利はこっちのものだとわかっているからです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
豊吉やお若もわきを向いていてほとんど挨拶もしないばかりか、豊吉は時どき当てこすりらしい毒口どくぐちさえ放った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「こういう毒口どくぐちをたたくのだから、土牢にほうりこまれるのも、当然じゃ。自体、幼少から、悪童ではあったが」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若者は毒口どくぐちを利きながら、しばらくその勾玉をもてあそんでいたが、自分もその楡の根がたへ楽々と腰を下すと
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何処を押せば其様そんが出る? ヤレ愛国だの、ソレ国難に殉ずるのという口の下から、如何どうして彼様あん毒口どくぐちが云えた? あいらの眼で観ても、おれは即ち愛国家ではないか
かつ顔に似合わない思切った皮肉や毒口どくぐちを連発するにはあきれてしまった。
毒口どくぐちたたいて、秘図ひずをふところにしまいかえした八風斎、やおら、伊那丸のまえをさがろうとすると、面目めんもくなげにうつむいていた忍剣にんけん小文治こぶんじが、左右から立って
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十面相は相手の真意をはかりかねて、ただ毒口どくぐちをたたくほかはありませんでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
姉はすぐに怒り出した。そうして父に背を向けたまま、口惜しそうに毒口どくぐちいた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小林君は自分の毒口どくぐちを聞いて、にやにや笑ひ出した。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あくまでふゆかいな毒口どくぐちをたたくのでした。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と、にくにくしい毒口どくぐちをたたいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)