死体しがい)” の例文
旧字:死體
机のかたわらに押立たは二本だち書函ほんばこ、これには小形の爛缶ランプが載せてある。机の下に差入れたはふちの欠けた火入、これには摺附木すりつけぎ死体しがいよこたわッている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
去れば余はお老人のそばを去るあたわず、更に死体しがいの手を取りてあらたむるに、余の驚きは更に強きを加えきたれり、読者よ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「無礼者!」と叫ぶと同時に、真っ先に進んだ川添三弥は、刀を抜いてさっと斬った。パッと散る血の泡沫しぶき、首をねられた老人は、薄雪の積もった峠道へ、バッタリ死体しがいを転がした。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
初て死体しがいを見し時の驚きと恐れとは何時いつしか消えて次第に物の理を考うる力もわれかえりしかば余は四辺あたりに在るすべての物に熱心に注意を配り熱心に考え初めぬ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
で行列は死体しがいを乗り越え、福島指して進んで行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
余はお一語をも発し得ずだ「あ、あ、あれ、あれ」とどもりつゝくだん死体しがいに指さすのみ、目科は幾分か余の意をさとりしにや直様すぐさま死体しがいかさなり掛り其両手を検め見て
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)