正気しやうき)” の例文
旧字:正氣
予はここに於て、予が警告をふたたびするの、必要なる所以ゆゑんを感ぜざるあたはず。予は全然正気しやうきにして、予が告白は徹頭徹尾事実なり。卿等さいはひにそを信ぜよ。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼等未来派の宣言やその芸術が一見奇怪と錯誤とに満ち、正気しやうき沙汰さたと思はれないのも道理であるが、さりとて僕の如きはこの春ベルンハイムで開かれた伊太利イタリイの画会を観て以来
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
回々教フイフイけう旅行者りよかうしやたちはすつかり面喰めんくらつて、ラランをなかからしたが、やつと正気しやうきづいたラランはした自由じゆうがきかないほど、くちなか火傷やけどしてゐた。カラカラとわらふどころではなかつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
Hは翌日の午前十時頃になつて、やつと正気しやうきに返る事が出来た。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)