正可まさか)” の例文
平生思想を性命として、思想に役せられている人に限って、思想が薄弱で正可まさかの時の用に立たない。私の思想が矢張やっぱり其だった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
愛山君とて正可まさかかゝる御考にはあらざるべし、余とて正可に山陽が一代の文豪なりしを知らざる訳にもあらざるなり。
賤事業弁 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
さうして辛抱して居りや、また其中そのうちに何ぞ好い仕事も見附かるだらう。さあ、一円るから、正可まさかの時の用意にしろ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
正可まさか! 這麽こんな小いの着られやしないわ。』と、笑ひ乍ら縫掛のそれをつまんで見せる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
在来の古土蔵が一つあるけれども、それは正可まさかの時に保証は出来ぬ。そこで新たに書庫として石蔵を造った。これならば火災のさいに一番安全だとは、平素家族の者に教えておいたところであった。
震災日誌 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
大喰おおくわされ!」とお糸さんは烟管きせるを火鉢のかどでポンと叩いて、「正可まさか女房子にょうぼこの有る人た思いませんでしたもの。 ...
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
正可まさか!』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
正可まさか鍍金めッきじゃ有るまい、飯櫃めしびつも運び込んでから
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)