ばた)” の例文
母親は筒袖つゝそでを着て、いざりばたをチヤンカラチヤンカラ織つてた。大名縞だいめうじまおさの動くたびに少しづゝ織られて行く。裏には栗のが深いかげをつくつて、涼しい風を絶えず一しつに送つて来る。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
私の記憶によれば、この父の代ですらなほ家運隆盛な一時期もあつて、ひところ四五十台の機械ばたを動かした頃なぞが目に浮かぶ。その頃は恐らく全町の機屋でも屈指の盛運にあつたのだらう。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
次には弘法ばたといって、これは少し大師の方が無理かと思う話がある。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)