かんじき)” の例文
百樹もゝき曰、北越に遊びて牧之老人が家に在し時、老人家僕かぼくめいじて雪をこぐ形状すがたを見せらる、京水かたはらにありて此図をうつせり。穿物はくものは、○かんじきすかりなり。
いささかなる小やみを見合はせ、かんじきとて深雪の上をわたるべき具を足に穿き、八海山の峰つづき、牛ヶ岳の裾山を過ぎるに、身重みおもにあれば歩むさへ、おのれが思ふにまかせざりけん
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
百樹もゝき曰、北越に遊びて牧之老人が家に在し時、老人家僕かぼくめいじて雪をこぐ形状すがたを見せらる、京水かたはらにありて此図をうつせり。穿物はくものは、○かんじきすかりなり。
いかんとなれば冬の雪はいかほどつもりても凝凍こほりかたまることなく、脆弱やはらかなる事淤泥どろのごとし。かるがゆゑに冬の雪中はかんじきすかり穿はきみちゆく里言りげんには雪をこぐといふ。
たいまつもなかるべし、かんじきも入るやうになりしぞ、それも持来もちきたれりといふも、西おとしの雪荒ゆきあれにてよくもきこえず。