ちゅう)” の例文
とたんに樹々の嫩葉わかばも梢もびゅうびゅうと鳴って、一点暗黒となったかと思うまに、一ちゅう巻雲まきぐもが、はるか彼方の山陰をかすめて立ち昇った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その門前なる二ちゅうのガス燈の昨夜よりも少しく暗きこと、往来のまん中に脱ぎ捨てたる草鞋わらじの片足の、霜にきて堅くなりたること、路傍みちばたにすくすくと立ちならべる枯れ柳の
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちゅうの煙をみるたび、谷が吠えるような喊声かんせいである。火の雨の下にある城兵の混乱ぶりを想像しての快哉かいさいなのだ。だが、矢ごろには限界がある。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)