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枯淡
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こたん
ふりがな文庫
“
枯淡
(
こたん
)” の例文
見ると、岩をけずって、
数行
(
すうぎょう
)
の文字が
小柄
(
こづか
)
で
彫
(
ほ
)
りのこされてある。それは、うたがう
余地
(
よち
)
もなく、
果心居士
(
かしんこじ
)
らしい
枯淡
(
こたん
)
な
筆
(
ひっ
)
せきで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一匹の
蛙
(
かえる
)
が、古池に飛び込んだ」と訳しただけでは、俳句のもつ
枯淡
(
こたん
)
なさび、風雅のこころ、もののあわれ、といったような、東洋的な「深さ」は
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
水の中に倒れて、その葉もすでに朽ち、折れた茎の乱れ立つ中に空になった蓮の実のところどころに残っている形には
枯淡
(
こたん
)
の趣が味い得られるからであろう。
枯葉の記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「浅ましくもなり
下
(
さが
)
れる姿」と評した。これは
枯淡
(
こたん
)
を愛した芭蕉には少しも無理のない言葉である。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、そこに更に差があります——
枯淡
(
こたん
)
と青春と。そうです。わたくしは女、女にして若き娘にして、いまや、三更月下無何に入ります。これはいかなる造化の戯れでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
山川の骨は、白や、薄鼠や、テール・ド・ナチュレルの枯葉の褐色をまぜた、ユトリロの描く
白壁
(
しらかべ
)
の
枯淡
(
こたん
)
な味をみせ、風吹かば飛ばんという洒脱なスタイルで、鉄板のうえに載っている。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
人々は、彼の落着いた身支度と、
枯淡
(
こたん
)
な人がらに
固唾
(
かたず
)
をのんで見惚れた。また、子を
庇
(
かば
)
う親心と、君に仕える身の辛さを思いやって、
惻隠
(
そくいん
)
の情に打たれた。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それから」「門」「
行人
(
かうじん
)
」「道草」等はいづれもかう云ふ先生の情熱の生んだ作品である。先生は
枯淡
(
こたん
)
に住したかつたかも知れない。実際又多少は住してゐたであらう。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
丹羽五郎左衛門長秀にはどこか
枯淡
(
こたん
)
があって
禿
(
は
)
げあがっている
鬢
(
びん
)
づらなど、戦陣振りも頼もしげに思われる。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
京の
仁清
(
にんせい
)
、
色絵
(
いろえ
)
の
柿右衛門
(
かきえもん
)
、みな一派の特長がある。この山からだす色鍋島は、こう行くよりほかに道はないぞ、と彼はよく弟子の
枯淡
(
こたん
)
になるのを叱りつける。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云っても、ただの「遊び」でそれをしているほど、彼はまだ
枯淡
(
こたん
)
な
粋人
(
すいじん
)
では勿論なかった。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
淡
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“枯淡”で始まる語句
枯淡虚静