林中りんちゅう)” の例文
帰路きろ余は少し一行におくれて、林中りんちゅうにサビタのステッキをった。足音がするのでふっと見ると、むこうのこみちをアイヌが三人歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ついすすめられて二十の年には今の林中りんちゅうの門人となって家寿太夫やすだゆうの名をもらうようなことになってしまった。
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
その後二日間溪流けいりゅうあるいは林中りんちゅうあるいは山間さんかんてビンビテーという駅に着きました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
このときには常磐津ときわず林中りんちゅうもまたその名音で満場の観客を陶酔させた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見たりし盆興行は団菊両優は休みにて秀調しゅうちょう染五郎そめごろう家橘かきつ栄三郎えいざぶろう松助まつすけら一座にて一番目は染五郎の『景清かげきよ中幕なかまくは福地先生新作長唄所作事しょさごと女弁慶おんなべんけい』(秀調の出物だしもの)二番目家橘栄三郎松助の「玄冶店大喜利げんやだなおおぎり」家橘栄三郎の『女鳴神おんななるかみ常磐津ときわず林中りんちゅう出語でがたりなりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)