朴念仁ぼくねんじん)” の例文
この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い田舎者いなかものであり朴念仁ぼくねんじんでなければならない。
科学者とあたま (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そっくり返せというのは、こちとらにはねえ仁義だ。巫山戯ふざけた事を言やがると、彦兵衛だろうが朴念仁ぼくねんじんだろうが、勘弁しねえぞ
「婿には多い型だが、それに輪を掛けたような好人物で、もちろん女を扱うこつなんぞはまるっきり知らない、つまり朴念仁ぼくねんじんというやつです」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかしそれは何も、そういう連中が皆朴念仁ぼくねんじんであるという意味ではない。皆結構生活を楽しんでいるのであるが、その楽しみ方が甚だ利口なのである。
パーティ物語 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それほど杜という男は、彼女にしてみればスパナーのように冷たく、そしてれったい朴念仁ぼくねんじんであった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「二度いうと風邪かぜを引かあ。おまはんみたいな人がよくいう見かけ倒しという代物しろものだ。犬の頭につのが生えても、こんな朴念仁ぼくねんじんからカビも生えやしねえってことさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天下に、切っても切れない不死身ふじみ洒落しゃれてもこすってもわからない朴念仁ぼくねんじん、くすぐっても笑わない唐変木とうへんぼく、これらのやからの始末に困るのは、西郷隆盛ばかりではないらしい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にするなら気の毒なものだ。よく先生が品切れにならない。よっぽど辛防しんぼう強い朴念仁ぼくねんじんがなるんだろう。おれには到底やり切れない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
刑事とて、洒落を解せぬ朴念仁ぼくねんじんばかりではないのである。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
朴念仁ぼくねんじんで何んの役にも立たず、現に、もう一人の若い手代の宗吉といふのは、下男のやうに働かされてゐますが、あれは何んでも親の借金の代りに
朴念仁ぼくねんじんだよ、石の地蔵か金仏だよ、なんだいあのわかぞう、ふざけちゃいけないよ」
契りきぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「それでつまり、貴女のことも怒っているというわけですね、呆れ返った朴念仁ぼくねんじんだ」
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
其処そこへ落武者になった欽さんが飛込んで来るなんて、草双紙にも滅多に無い筋じゃないか、——あの通り世間は物騒だし、幸い主人あるじ朴念仁ぼくねんじんで二人の仲に気が付かないから、五年でも十年でも
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あんな朴念仁ぼくねんじんの下で働かされちゃあ息の根が止まっちまう。
枡落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
言やがると、彦兵衞だらうが朴念仁ぼくねんじんだらうが、勘辨しねえぞ
この朴念仁ぼくねんじんらしい浪人者は案外に眼が屆きます。
とんだ朴念仁ぼくねんじんだよ先生は。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
朴念仁ぼくねんじんであり、馬鹿でさへありました。