月賦げっぷ)” の例文
「えッ五万円を二十日間に……。そりゃひどい。月賦げっぷにしておくんなさい。毎度のことじゃありませんか」
一九五〇年の殺人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうしますと良人が翌日あくるひ高利貸の家へ出向いて色々談判した末三百円を月賦げっぷで返す事にめて参りました。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
自転車は久子としたしかった自転車屋の娘の手づるで、五か月月賦げっぷで手にいれたのだ。着物がないので、母親のセルの着物を黒くめ、へたでもじぶんでった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「ごりょんさん」と、愛智時計屋が、笑いながら、「心配しなさんな。月賦げっぷで、ええ。あるとき払いでも、ええ。玉井さんを信用して、売ります。持って帰って下さい」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
山から落ちた勢いをなしくずしに持ち越して、追っけられるようにおどって来る。だから川と云うようなものの、実は幅の広いたき月賦げっぷに引き延ばしたくらいなものである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
というのは午後十一時過ぎのようにまったく遊び専門の人種になり切っていなかった。いくらか足並あしなみに余裕を見せている男達も月賦げっぷ衣裳いしょう屋の飾窓かざりまど吸付すいついている退刻ひけ女売子ミジネットの背中へまわって行った。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
蝶子の前借は三百円足らずで、種吉はもはや月賦げっぷで払う肚を決めていた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
路傍ろぼうにてめぐりあった月賦げっぷの洋服屋の襟首に発射して、グズグズ云い訳けを云って時間を伸ばしているうちに、かの家ダニはほどよく相手の頸筋くびすじに喰いつくが故に
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
それじゃ月賦げっぷでいただきましょう、月賦も細く、長く、どうせこれから御贔屓ごひいきになるんですから——いえ、ちっとも御遠慮には及びません。どうです月に十円くらいじゃ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
舟から目をはなさずにいいながら、以前でさえも月賦げっぷで買ったことを思いだした。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
社員「ヨシヨシ判った。月賦げっぷで一つ買おう。」
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)