書窓しょそう)” の例文
書窓しょそうから眺めると、灰色はいいろをした小雨こさめが、噴霧器ふんむきく様に、ふっ——ふっと北からなかぱらの杉の森をかすめてはすいくしきりもしぶいて通る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かかりしほどに、一日あるひ朝鮮変乱に引き続きて、日清の談判開始せられたりとの報、はしなくも妾の書窓しょそうを驚かしぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
成程余が書窓しょそうから此頃常に見る旗と同じ紅白染分の旗が、路傍の松のこずえにヒラヒラして居る。東北の方にも見える。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
三 書窓しょそうの警報
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
余の書窓しょそうから西にながむる甲斐かい山脈さんみゃくして緑色近村きんそんの松のこずえに、何時の程からか紅白染分そめわけの旗がひるがえった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)