曲木まげき)” の例文
曲木まげき細工の椅子が四つほどもあって、英国社会教育家のなにがしという老外人が、不良児の感化事業を試みている、いわゆる少年懲治監なのである。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊助は外套がいとうと角帽とを給仕の手に渡すが早いか、勢いよく野村の卓子テエブルの前へ行って、「待たせたか」と云いながら、どっかり曲木まげき椅子いすへ腰を下した。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
椅子も卓子テーブルもなく、ただ粗末な食堂用らしい曲木まげき細工の椅子が、ただ一つ塵にまみれて、棄て置かれてあった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
隅っこに、どういう訳か二脚だけある椅子へこっち向にまたがり、粗末な曲木まげきのよりかかりに両腕をもたせて一人は顎をのせ、一人は片膝でひどく貧乏ゆすりをしている。
乳房 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
会津の山々は雪の多いところとて、わらで出来た雪踏ゆきぶみ雪沓ゆきぐつや、曲木まげきかんじきや形の面白いのを見かけますが、かかる品を求めるには一番山奥の檜枝岐ひのえまたを訪ねるにくはありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
椅子いす曲木まげきの寝床などが散在しているにすぎなかった。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
夏の夜軒端のきばたなどに吊して涼しさを添える品であります。細い骨の上に薄い紙をり好んで草花などを描きます。上と下との曲木まげきには厚ぼったく白の胡粉ごふん割菊わりぎくの紋などをつけます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)