暗号あいず)” の例文
旧字:暗號
暗号あいずが出来ると、いつも奥様がおっしゃるもんだから、——卓子さん(卓をたたく)殊にお前さんは三ツ脚で、狐狗狸こっくりさん、そのままだもの。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お三輪は、何も照吉のが烏だとも何とも、自分で言ったのじゃ無いから、別にそこまでは気を廻さなかったと見えて、暗号あいずに袖を引張らなかった。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お夏さんは定子になって殺されようという、——まだもっとも、ほか暗号あいずめてあったんではありますがな、髪を洗って寝首を掻かせた、大時代な活劇でさ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暗号あいずで出て来る妹と手を取って、肩を抱合って、幾度泣いたか知れません。……姉は恥かしいから逢わぬと歎く。女の身体からだの、切刻まれる処が見たいか、と叱るんだね。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道端みちばたの事、とあえてこころにも留めない様子で、同じようにつまさきを刻んでいると、空の鵄が暗号あいずでもしたらしい、一枚びらき馬蹄形ばていがたの重いが、長閑のどかな小春に、ズンと響くと
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうも姉様ねえさん難有ありがとう。」車夫は輪軸を検せんとて梶棒を下すを暗号あいずに、おでん燗酒かんざけ茄小豆ゆであずき、大福餅の屋台みせに、先刻さきより埋伏まいふくして待懸けたる、車夫、日雇取ひようとり、立ン坊、七八人
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と戸棚へ目をって、手で円いものをちらりとこしらえたのは、菓子鉢へ何か? の暗号あいず
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途轍とてつもない処へ行合わせて。——お夏さんに引込まれて、その時の暗号あいずになった、——山の井医院の梅岡という、これがまた神田ッ児で素敵に気の早い、活溌な、年少としわかな薬剤師と、二人で。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥さん! とその梅岡さんが四辺あたりを見計らって声をかけて下さるように、相談をして置くから、可いかい! この薫と、その奥さん! を暗号あいずにして、……とくれぐれもおっしゃったんで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暗号あいずが出来ると、何時いつも奥様がおつしやるもんだから。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たしか暗号あいずに違いない、しかも自分にするのらしい。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)