旨味うま)” の例文
フトがつくと、さきんでゐるラランがなに旨味うまいものでもたべてゐるやうなおとをたてゝ、のど気持きもちよくならしてゐる。ペンペはもう我慢がまんができないで
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
ひどい空腹すきはらの処へ、素的に旨味うまそうだから、ふうふう蒸気いきの上る処を、がつがつして、加減なしに、突然いきなり頬張ると、アチチも何もない、吐出せばまだ可いのに、かつえているので、ほとんど本能のいきおい
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『ラランよ、たべるものがあるならけてくれ。ずゐぶん旨味うまさうなおとだ。たのむよ。すこしでいいから。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
なるほど旨味うまい。いくらか元気げんきてきたので、ラランについてうえうえへとんでゐた。するともなくさきにゆくラランがまえのやうにのどらしはじめた。ペンペはでない。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)