新川しんかわ)” の例文
例えば江戸市中の何処どこの所に掘割ほりわりをして通船かよいせん運上うんじょうを取るがよろしいと云う者もあり、又あるい新川しんかわ這入はいる酒に税を課したらかろうとか
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
戸畑側の新川しんかわ岸壁に、貝島炭積機とならんで、三菱炭積機工事が、着々と進んでいる。それは、巨大な鋼鉄の昆虫に似ていた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
十四の時豪商の立志伝や何かで、少年の過敏な頭脳あたま刺戟しげきされ、東京へ飛び出してから十一年間、新川しんかわの酒問屋で、傍目わきめもふらず滅茶苦茶めっちゃくちゃに働いた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
酒は新川しんかわ鹿島かしま雷門前かみなりもんまえ四方よもから取り、椀は宗哲そうてつ真塗しんぬり、向付むこうづけは唐津からつ片口かたくちといったふうな凝り方なので
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
新川しんかわはあたかもこの川に接続するものの如く中川より東南に入るの流なるをもて、なほ東して遠く去れば、利根の分流たる江戸川の妙見島上流に出づ。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
京橋八丁堀の玉子屋新道じんみちに住む南町奉行所の与力よりき秋山嘉平次が新川しんかわの酒問屋の隠居をたずねた。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新川しんかわのある酒問屋の主人は贔屓ひいきのあまり、鉄道馬車へ広告することを案じだした。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
午前二時、新川しんかわ岸壁集合、大伝馬おおでんま船を、燈台沖とうだいおきまで漕ぎだして置いて、パナマ丸の入港を待つ。助ボーシンの源公とも、よく打ちあわせてある。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
戸畑側の新川しんかわ岸壁には、三菱炭積機が、着々と、工事を進められた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)