敷布シート)” の例文
敷布団は厚い郡内ぐんないを二枚重ねたらしい。ちりさえ立たぬ敷布シートなめらかに敷き詰めた下から、あら格子こうしの黄と焦茶こげちゃが一本ずつ見える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎はこんなことを言って、あらかじめ、敷いてある敷布シートの余っているはじを女の寝ている方へ向けてぐるぐる巻きだした。そうして蒲団のまん中に白い長い仕切りをこしらえた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まるで廃墟ルインスだと思いながら、また室の中に這入はいると、寝床には雪のような敷布シートがかかっている。ゆかにはやわらかい絨毯じゅうたんが敷いてある。豊かな安楽椅子がえてある。器物はことごとく新式である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
むらさき絹紐リボンは取って捨てた。有るたけは、有るに任せて枕に乱した。今日きょうまでの浮世と思う母は、くしの歯も入れてやらぬと見える。乱るる髪は、純白まっしろ敷布シートにこぼれて、小夜着こよぎえり天鵞絨びろうどつらなる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎はこんな事を云つて、あらかじめ、いてある敷布シートの余つてゐるはじを女の寐てゐる方へ向けてぐる/\き出した。さうして布団の真中まんなかに白い長い仕切りをこしらへた。女はむかふへ寐返りを打つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)