散切ざんぎり)” の例文
黒いところはすっかり洗い落されて、昔に変るのは茶筅ちゃせん押立おったてた頭が散切ざんぎりになっただけのこと。身体からだには盲目縞めくらじまの筒袖を着ていました。
なふだに医学博士——秦宗吉とあるのを見た時、……もう一人居た、散切ざんぎりで被布の女が、P形に直立して、Zのごとく敬礼した。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あへちうするにおよばないが、くるまうへ露呈あらは丸髷まるまげなり島田しまだなりと、散切ざんぎりの……わるくすると、揉上もみあげながやつが、かたんで、でれりとしてく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
身体からだうるしのように黒く、眼ばかり光って、唇がこしらえたように厚く、唇の色が塗ったようにあかい、頭の毛は散切ざんぎりちぢれている、腰の周囲まわりには更紗さらさのようなきれを巻いている
米友はいまさらのように自分の腕を撫でてみて、それから散切ざんぎりになった頭の毛をコキ上げる。