摺子木すりこぎ)” の例文
猿であろうが摺子木すりこぎであろうが、それが純粋な猿や摺子木として取扱われている間は漫画の領域に這入はいり得ないように思われる。
漫画と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いきなり後足で砂をるようなどろんだ、だがなあお笛、天道さまは見とおしだ、百日余り足を摺子木すりこぎにしたお蔭で、ようやくこことつきとめて来た、お笛
明暗嫁問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
尾田のすぐ左隣の男は、摺子木すりこぎのように先の丸まった手をだらりと寝台から垂らしてい、その向かいは若い女で、仰向いている貌は無数の結節で荒れ果てていた。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
たとえば味噌みそるためには摺子木すりこぎは棒の形を有することが必要であるが、棒の形を有しておる以上は、これを一種の棒として犬の頭を打つために用いることもできる。
脳髄の進化 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
するのみなり時に半四郎は大音だいおんあげ盜人どろばう這入はひりしぞや家内の者共起給おきたまへ/\とよばはるにぞ夫れと云つゝ亭主は勿論もちろん飯焚めしたき下男迄一同に騷ぎたち盜人は何處いづくへ這入しと六尺棒或ひは麺棒めんぼう又ははゝき摺子木すりこぎなど得物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
摺子木すりこぎのようにまるい神経の持ち主であるセーラーたちも、環境がかくのごとくであるために、ひとりでにしんみりしてしまうのであった。そして、彼らは、いつでも、しんみりするのを好まなかった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
勝手から摺子木すりこぎを持って来やして、いきなりぽかっとここを、……見ておくんなさい、これこの瘤の大きいこと、……二度と来てみやがれッちゃぶいてやるからってんで
ゆうれい貸屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あたかも摺子木すりこぎで犬を打ち、団扇うちわで蠅をたたいておるごとき関係のものであろう。
脳髄の進化 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)