揚言ようげん)” の例文
かれはむかしから“猿ぎらい”だと揚言ようげんしていた。猿が、信長に見出されかけていた当時から、かれは尾州びしゅう春日井郡かすがいごおりの一城主だった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両方とも「親愛なる親方ボスよ」というアメリカふうの俗語を冒頭に、威嚇いかく的言辞を用いて新しい犯行を揚言ようげん
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
しかし西洋の人は戦いに出る時も炉辺ろへんと家庭と for hearth and home を揚言ようげんする。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あの気まずい別れぎわの春日の揚言ようげん哄笑こうしょうとが、私の耳の底に凝着こびりつき、何とはなくぐずぐずしているうちに、もう、明るい陽射しの中を、色鮮やかな赤蜻蛉あかとんぼの群が
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
世にはメンデルスゾーンの音楽を好まないと揚言ようげんする者は必ずしも少なくないが、その人達はおそらく、もう少し陰影のこまやかな音楽、感情の爆発を伴う音楽、あるいはイデオロギッシュな音楽
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
もちろんこれは寸前まで味方の士卒のあいだにも兵略の機微きびを漏らすまいとする万全の用意から出た揚言ようげんであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵迫ると聞えた時、これは滝川一益が、左右へ放った揚言ようげんであったという。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)