“捧(あ)” の例文
こうした蔭口を、時には故意(わざ)と聞えよがしに云うのを耳にしながら、平然として告別式に列席し、納骨式に拍手(かしわで)を拍(う)って祝詞(のりと)を捧(あ)げる彼だ。
むかでの跫音 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
奥さん達は観音堂で御祈祷を捧(あ)げた。田鶴子さんが社交振りを発揮して一緒に坐り込んでしまったものだから、僕達は待っていなければならなかった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それでもまだ忌(いま)わしさが晴れないように、捧(あ)げてある花と水の器(うつわ)を両手に持って、次の部屋の縁先へ、その水をさっとこぼすと、縁の端に腰をかけていた沢庵(たくあん)が
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
持ってきて、それから縫掛けの袷(あわせ)を今日中に仕上げてしまいなさい……。政は立った次手(ついで)に花を剪(き)って仏壇へ捧(あ)げて下さい。菊はまだ咲かないか、そんなら紫苑(しおん)でも切ってくれよ
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
秋草の花を折り集めて石の前に捧(あ)げた。そして掌(て)を合せかけたが、ふと振り顧って
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「出来ないものは婦人科へ行っても出来やしない。お経で後屈矯正(こうくつきょうせい)や掻爬術(そうはじゅつ)が出来て溜るもんか。見す/\効能のない御祈祷を平気で捧(あ)げているんだから坊主という奴は済度(さいど)し難いよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)