“持薬(じやく)” の例文
旧字:持藥
接伴(せっぱん)委員長のカーボン卿(きょう)は、金博士が、あまりにも空爆下(くうばくか)に無神経でありすぎるのに愕(おどろ)き、周章(あわ)てて持薬(じやく)のジキタリスの丸薬(がんやく)をおのが口中(こうちゅう)に放りこむと
「そんな役得でもなきゃ、十手捕縄御返上だ。“子曰く”なんか持薬(じやく)にするような、悪い病(やまい)はねえ」
お前のはぶるぶるふるえるほどでもないようだから、平生から持薬(じやく)に度胸のすわる薬を東京の医者にこしらえてもらって飲んでみろ。直らないこともなかろうというのである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今は矢筈草押込みて煎じつめ夜(よ)ごと眠(ねむり)につく時持薬(じやく)にする身とはなり果てけり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「女のお児さんかなし。子供衆の持薬(じやく)には極く好いで、すこし置いていかず」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「いやあれは鳥渡(ちょっと)……僕の持薬(じやく)である丸薬(がんやく)を落したから、拾い集めて居ただけなんです」と答えたが、その答えぶりから言ってそれは明らかに偽(いつわ)りであることが判った。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一埒(らち)を聴いて、川から引揚げた千両箱を見せて貰って、その角の壊れを丁寧に調べると、今度はまだ大黒屋に居る本道に逢い、福三郎は心(しん)の病(心臓病)があって、持薬(じやく)を飲んでいた事