投扇興とうせんきょう)” の例文
ここのお館にも、投扇興とうせんきょうや貝遊びや、また双六すごろくとか半弓の遊具なども備えてあるにちがいないが、そんな殿上遊戯はお上品すぎておもしろくない。
「ムクや、お前とここで投扇興とうせんきょうをして遊びましょう、わたしが投げるから、お前、取っておいで」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ひまなときには伏籠ふせごをおいて着物に伽羅きゃらをたきしめたり腰元たちと香を聴いたり投扇興とうせんきょうをしたり碁盤ごばんをかこんだりしている、お遊さんのはあそびの中にも風流がなければあきませぬので
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ほんとに面白うございました。日金峰ひがねへ登ったり、海辺へ出て見たり、飽きると次郎やおりんと投扇興とうせんきょうをしたりして」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やはりお前に限りますね。さ、お嬢様、次郎も帰って来ましたから、お気持を直して、また双六盤すごろくばん投扇興とうせんきょうでも」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と言って、あの道化どうけの次郎が居ないでは、カルタも喧嘩にならないし、投扇興とうせんきょうもさっぱり興味がのりません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
投扇興とうせんきょう、すごろく、和歌合うたあわせ、といったような遊戯にも、すぐ飽いてしまうし、誰や彼の、垣間見かいまみの男性たちのうわさも、ままにならない身がかえって苦しくなるだけで、恋をするには
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和歌のつどい、こうく会、また、まり、散楽さんがく、すごろく、貝合かいあわせ、投扇興とうせんきょう