よろこ)” の例文
そこで七郎が来たが、二人の意気がしっくりあっていて二人ともひどくよろこびあった。武は七郎に金を贈ろうとした。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
志貴皇子しきのみこよろこびの御歌である。一首の意は、巌の面を音たてて流れおつる、滝のほとりには、もうわらびが萌え出づる春になった、よろこばしい、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いたくもこの弁論に感じたる彼の妻は、しばしば直道の顔を偸視ぬすみみて、あはれ彼が理窟りくつもこれが為にくじけて、気遣きづかひたりし口論も無くて止みぬべきを想ひてひそかよろこべり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
孫はそこで阿宝を親しく迎えて結婚したが、二人は互いに世を隔てて逢った人のようによろこんだ。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老いたる役員はわが子の出世をるがごとくよろこべり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひとり宮のみは騒げるていも無くて、そのすずし眼色まなざしはさしもの金剛石と光を争はんやうに、用意深たしなみふかく、心様こころざまゆかしく振舞へるを、崇拝者は益々よろこびて、我等の慕ひ参らするかひはあるよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくと聞くより、盲人めしいは飛立つばかりによろこびぬ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
して、俺が今死ねば、たちまち何十人の人が助り、何百人の人がよろこぶか知れん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)