恩徳おんとく)” の例文
帝室ていしつをば政治社外の高処こうしょあおたてまつりて一様いちようにその恩徳おんとくよくしながら、下界げかいおっあいあらそう者あるときは敵味方の区別なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
蔵人くらんどさぎならねども、手どらまへた都鳥を見て、将軍の御威光、殿の恩徳おんとくとまでは仔細ない、——別荘で取つて帰つて、ぶしをゆわへて、桜の枝につるし上げた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一方は婚を以て恩徳おんとくのごとく心得、一方はその徳を徳とせずしてこれをいやしむのいきおいなれば、出入しゅつにゅうの差、はなはだ大にして、とても通婚つうこんさかんなるべき見込あることなし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)