ゑん)” の例文
お靜はちよいとゑんじましたが、自分も少し出過ぎたことに氣がついたか、そのまゝもとのお勝手に、一陣の薫風を殘して姿を隱しました。
もとゑんじはまこと心底の胸から出やるか、乃至ないしは唇のおもてからか。いやさ、それを告げいでは、ちやくと教へられぬわい。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
春の夜はものぞうつくしゑんずるとひろのあなたにまろ寝の人も
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
金があるかないかは素より知らず、此家に來てから五年になるが「ろくなお小遣こづかひも貰はなかつた」と少しゑんずる色があります。
千代松の眼には痛々しくもゑんずる色があります。何時の間にやらお雛は、耳をふさぐやうに出て行つてしまひました。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
お靜はゑんずる色がありました。内氣で優しいお靜に取つては、程經ほどへてからでも斯う言ふのが精一杯だつたのです。
敷居に崩折れるやうに、お六のゑんじた眼は妖艶ようえんを極めます。
お六は華奢きやしやな肩を落して、ゑんずる姿に平次を見上げます。
少しばかりゑんずる色が、滅法仇つぽく見える女です。
お仕舞の手を休めて、ゑんずるのです。
お靜には少しゑんずる色がありました。
お銀は妙にゑんずる色があります。