急霰きゅうさん)” の例文
拍手の音が急霰きゅうさんのように場内一面に湧き起った。その響きのうちに道化男は、裸馬に乗ったまま犬に吠え立てられつつ楽屋の中に駈け込んで行った。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
矢は急霰きゅうさんのように追ったが、徐栄軍はついに追いきれなかった。曹操たちは、一叢ひとむら蒼林そうりんを見て、ほっと息をついた。見ると五百ばかりの兵馬がそこにいる。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をきっかけに熱弁をふるうこと十五分、満場ことごとく感動して、一人の声を出すものもなし。蛮声終れば拍手急霰きゅうさんのごとし。将軍の髯面、ために穴の開く程観衆より見られた。
急霰きゅうさんのような拍手はくしゅが島をゆるがす、小鳥がおどろいて一時にパッと飛びたった。一同はまるでなつかしい校庭で遊びたわむれているときのように競技にむちゅうである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一座の興趣きょうしゅは、仮装の福禄寿に集まって行った。福禄寿は早速、その周囲の二、三人の手で帯をかれた。同時に三つの杯が転がり出た。万は急霰きゅうさんのような拍手に包まれた。
手品 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その烈しい急霰きゅうさんの落ちようは人の話し声も聞えないほどさかんであった。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
博士は急霰きゅうさんのような拍手を浴びながら演壇を下った。
人造人間 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
無事にすむと急霰きゅうさんのような拍手が起こった。
美音会 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)