念比ねんごろ)” の例文
ふたたびかしこに行きて念比ねんごろにとぶらひ給へとて、杖をきてさきに立ち、相ともにつかのまへにして声をげて嘆きつつも、其の夜はそこに念仏して明かしける。
尚々なほなほこの与右衛門よゑもん、御国へも可参まゐるべく候間、被成御心付おこころづけなされ候て被下くだされ候はゞ、可忝かたじけなく候、以上 其後者そのごは以書状不申上しよじやうをもつてまをしあげず背本意ほんいにそむき奉存候、拙者も今程、肥後国へ罷下まかりくだり、肥後守念比ねんごろニ申候ニ付而、逗留仕居候
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾日々にまうでてつかへまゐらすべしと、まめやかにちぎりつつも、心をもちゐて助けけるに、病やや減じてここちすずしくおぼえければ、あるじにも念比ねんごろに詞をつくし、左門が二一陰徳をたふとみて