“快癒(かいゆ)” の例文
「否、立派な健康体です。強(し)いて名をつければ仮病(けびょう)ですな。これは学生時代からの痼疾(こしつ)だから、もう快癒(かいゆ)の見込はありません」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかし癩者は、自分の体から流れ出る膿(うみ)を吸って下さるならば必ず快癒(かいゆ)するにちがいないと申し立てた。いかに深い慈心といえどもこれだけは躊躇(ちゅうちょ)されたであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
近ごろになってお驚きになったように急に御快癒(かいゆ)の法などを行なわせておいでになるのである。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
只(ただ)一人の生残者リウサン参謀の快癒(かいゆ)を待つまでもなく、怪電気は、太青洋の空を越えて、一瞬間に、ラヂウム元帥と、十数名の優秀なる幕僚たちを、殺害してしまったのである。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いまは大方に快癒(かいゆ)、鬱散(うっさん)のそとあるきも出来候との事、御安心下され度(たく)候趣、さて、ここに一昨夕、大夕立これあり、孫八老、其(そ)の砌(みぎり)某所墓地近くを通りかかり候折から、天地晦冥(かいめい)
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう掘っ立て小屋にも住まず、アル中もほとんど快癒(かいゆ)していた。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ドノバンはまったく快癒(かいゆ)した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私邸のほうへもお暇(いとま)を乞(こ)い、神々への祭り、祓(はらい)までも隙(ひま)なくさせて姫君の快癒(かいゆ)のみ待つ薫であったが、見えぬ罪により得ている病ではないのであったから、効験は現われてこなかった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
貴婦人の病気は、それで、快癒(かいゆ)。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老いた尼君はいつもすぐれた健康を持っているのではない上、遠い旅をしたあとであったから、その後しばらくはわずらっていたもののようやく快癒(かいゆ)したふうの見えたために僧都は横川(よかわ)の寺へ帰った。
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)