待合まちあわ)” の例文
火事よ/\という声がいたす、停車場ステーション待合まちあわすものは上を下へと混雑して、まるで芋の子を洗うような大騒ぎでげす。
それのみならず去年の夏の末、お糸を葭町よしちょうへ送るため、待合まちあわした今戸いまどの橋から眺めたの大きなまるい円い月を思起おもいおこすと、もう舞台は舞台でなくなった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
勿論もちろんS、H夫人ふじんはS、H友人ゆうじん此処ここ待合まちあわせることになつてゐた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
これから貴公が往って勧めて早稲田まで行くと夜遅くなり、お茶の水辺りへ来ると、九ツになる、其処そこへ私が待合まちあわせて真二まっぷたつにするという趣向はどうだ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女給のすみ子が店をしまってからわざわざ廻り道をして来るのを待合まちあわしているのである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
多分たぶんS、H夫人ふじんが、ホテルでS、HとT連中れんちう待合まちあわせることになつてゐたのでもあらうがM、H夫妻ふさい其処そこ宿泊しゆくはくしてゐたために、一どうらずらずホテルへることになつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)