当節とうせつ)” の例文
が、当節とうせつ評判の人物だから、話に聞いて、大体の想像はつく。ハテナ、喬之助ではないかナ——と思った瞬間しゅんかん、長庵はすぐ思い返した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「中学校だっけね、乃公おれは子供を持った事がねえから当節とうせつの学校の事はちっとも分らない。大学校まで行くにゃまだよほどかかるのかい。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして、当節とうせつ、わずかの金で、六人の人間と一匹の獣とを養って行くことが、どんなに困難かという説明をしたりする。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
冗談じょうだんいわっし。当節とうせつぜにおとやつなんざ、江戸中えどじゅうたずねたってあるもんじゃねえ。かせえだんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
忠実まめやかなところを見せて置くのが、当節とうせつ商人気質あきゅうどかたぎ、それを右衛門七の手から届けさせて、お気に召すとなれば、だんだんに取り入って、お粂さんと夫婦して暖簾を持つようになっても
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もっとも、当節とうせつの歌よみや宗匠くらいにはいくつもりだがね。」
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「何の中でも、当節とうせつ五十両といえばまず大金の部である。こころおぼえのために栄三郎から離縁状を取って戻るまで、受取りをひとつ書いてもらいたいものだが……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
当節とうせつ流行はやりの夢判断。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)