強訴ごうそ)” の例文
勘定奉行大橋近江守おおはしおうみのかみ殿をあざむき、本多伯耆守ほんだほうきのかみ殿にまで御迷惑をかけ、百姓共の強訴ごうそを拒んで、大公儀の御眼をくらます不届千万の処置振り
一つものが間違えば、三井寺へも、攻めてゆくし、神輿しんよをふって、御所へも強訴ごうそに出かけるというような乱暴な学僧のあつまりである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その初めは土津つちづ羽州うしゅう最上にあらせられし時幕領白岩の農民強訴ごうそに及びたる時、三十六人の巨擘きょはくを捕へて、糾弾もせず一時に磔刑に行はれ、それを
せいばい (新字新仮名) / 服部之総(著)
行商人 ……ええと、右之者共、かみを恐れず、ええと、貢租こうその件につき……へえ、貢租てえと年貢のことじゃろが……強訴ごうそにおよばんといたし相謀り……強訴と言うのは何の事だえ?
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
はなはだしきは徒党を結び強訴ごうそ一揆いっきなどとて乱暴に及ぶことあり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
強訴ごうそ……いわゆる駈込みうったえというのは。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
山科興福寺の僧衆が、まいど、何千という大衆の示威をもって、のないところにムリな理屈をつけ、禁門や院へ強訴ごうそに押しよせてくる。
「あれは、先ごろからの強訴ごうそ一件で、院のおさばきにたてつく山門の衆を捕り抑えよと令せられて、それで御発向ごはっこうの兵馬と申されておりまする」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「言論の上ならばともかく、ただ新しい宗教を排斥するための強訴ごうそ誹謗ひぼうは、これを御政治にとりあげて、軽率に、主権の御発動を仰ぐべきでない」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上役人は、賄賂わいろの取り放題だし、坊主は強訴ごうそと我欲のほかはねえ金襴きんらんの化け物だ。地頭は年貢いじめにもすぐ太刀のりを見せ、妾囲いと田楽踊りをいいことにしていやアがる。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『また、叡山えいざんか、興福寺の大衆だいしゅが、強訴ごうそにでも、押しよせて来たのでしょうか』
飢えて死ぬより、強訴ごうそだ、一揆いっきだ!
(新字新仮名) / 吉川英治(著)