弓町ゆみちょう)” の例文
番所の書庫から赦帳ゆるしちょうや捕物帳などを山ほど持ち出し、出勤もせずに弓町ゆみちょう乾物屋かんぶつやの二階に寝っころがって、朝から晩までそんなものを読み耽っている。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その頃小金井こがねい東片町ひがしかたまちに住んでいました。始めは弓町ゆみちょうでしたが、家主が、「明地あきちがあるから」といって建ててくれたのです。弓町では二棟借りていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
都下の樹木にして以上のほかなお有名なるは青山練兵場内のナンジャモンジャの木、本郷西片町ほんごうにしかたまち阿部伯爵家のしい、同区弓町ゆみちょう大樟おおくすのき芝三田しばみた蜂須賀はちすか侯爵邸の椎なぞがある。わずらわしければ一々述べず。
京水には二人の男子なんしがあった。長を瑞長ずいちょうといって、これが家業をいだ。次を全安ぜんあんといって、伊沢家の女壻になった。榛軒のむすめかえに配せられたのである。後に全安は自立して本郷弓町ゆみちょうに住んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
上野国こうずけのくに高崎の城主松平右京亮うきょうのすけ輝聡てるとしの家来で、本郷弓町ゆみちょうに住んでいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)