弁解いひわけ)” の例文
旧字:辯解
わけのわからない弁解いひわけを示して、おさげに結むだリボンを前に廻して、それをもてあそびながら、もう一遍「だつて……」と云ひました。
美智子と日曜日の朝の話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
怒らしたものならむと、瞬く隙に見て取つて。もうこの上は詮方がない。弁解いひわけしても無益むだな事。それよりは、ここ一寸を遁れての、分別が肝要と。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
鋭い良心の詰責とがめは、身をまもる余儀なさの弁解いひわけと闘つて、胸には刺されるやうな深い/\悲痛いたみを感ずる。丑松はぢたり、おそれたりしながら、何処へ行くといふ目的めあても無しに歩いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
温和おとなしいフロウベエルは色々に弁解いひわけをしたが、嫉妬焼やきもちやきの女はうしても承知しないので、小説家もとうと本気になつて怒り出した。そしてまきざつぽうをふり上げてなぐり倒さうとした。
弁解いひわけのやうにつけ加へて云った。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
と言はれて、級長は何か弁解いひわけようとしたが、やがて涙ぐんで黙つて了つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
種々いろ/\弁解いひわけを考へて見た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)