まはし)” の例文
と案内も待たずにどんどんと二階へ上つて来たのは、鼠色のめて皺の寄つた背広を着た執達吏と、今一人は黒の綿入めんいりのメルトンの二重まはしを来た山田と云ふ高利貸であつた。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
と云つて笑顔もせずに二重まはしの儘で山田はすわつた。保雄は山田の態度がしやくさはつたので
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
と言ひ乍ら山田は渋々しぶ/″\二重まはしを脱いだ。下にはまがひの大島がすりの羽織と綿入わたいれとを揃へて着て居る。美奈子は挨拶もせずに下へりて行つた。執達吏は折革包をりかばんから書類と矢立やたてとを出した。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)