庖厨くりや)” の例文
離宮内侍従医長の住宅 の事でございますから、そんなに大きくもありませんが、かなりに広い客室と書室、下僕しもべ部屋と庖厨くりや都合四室ございます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
夜中に月があかるい時、寺の門を叩いたこともあったそうだし、人の庖厨くりやへ忍び込んで、なべおおきいのと飯櫃めしびつを大屋根へ持って、あがって、手掴てづかみで食べたこともあったそうだし
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
戸口に入りしより疲を覺えて、身の節の痛み堪へ難ければ、這ふ如くに梯を登りつ。庖厨くりやを過ぎ、室の戸を開きて入りしに、机に倚りて襁褓縫ひたりしエリスは振り返へりて、「あ」と叫びぬ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
はなすがはやいか、さる方々はう/″\かけずりまはつて勝手放題かつてはうだい道楽だうらくをする、夜中よなかつきあかるときてらもんたゝいたこともあつたさうだし、ひと庖厨くりやしのんで、なべおほきいのと飯櫃めしびつ大屋根おほやねつてあがつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)