広室ひろま)” の例文
旧字:廣室
そのほか、小座敷でも広室ひろまでも、我家のやみをかくれしのぶ身体からだはまるで鼠のようで、心は貴方の光のまわりにひとりむしのようでした。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寝床しんしやうわれを呑み、睡眠われを無何有郷むかうきやうに抱き去らんとす。然れどもわれは生命いのちある霊景と相契和しつゝあるなり。枕頭の燈火、が為に広室ひろまを守るぞ。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
客は会場の広室ひろまに溢れ、帳場にこぼれ、廊下に流れて、わやわやとざわめく中を、よけるようにして通って、一つ折曲る処で、家内総出で折詰の支度に料理場、台所を取乱したのをながら
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしろ片手でとあとをしめて、三畳ばかり暗い処で姿が消えたが、静々と、十畳の広室ひろまあらわれると、二室ふたま二重ふたえの襖、いずれも一枚開けたままで、玄関のわきなるそれも六畳、長火鉢にかんかんと
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)