幼心をさなごころ)” の例文
その三畳の格子かうしの前のところで、軽いなまめかしい駒下駄の音が来て留つた。かれは幼心をさなごころにもそれが誰だかちやんと知つてゐた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
茹栗ゆでぐり燒栗やきぐり可懷なつかし。酸漿ほうづきることなれど、丹波栗たんばぐりけば、さととほく、やまはるかに、仙境せんきやう土産みやげごと幼心をさなごころおもひしが。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)