はん)” の例文
青州の野についてみると、賊数万の軍は、すべて黄の旗と、八卦はっけの文をしるしとしたはんをかざして、その勢い、天日をもあなどっていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
命じておいて、袁紹は旗下一千余騎、弩弓手どきゅうしゅ五百、槍戟そうげきの歩兵八百余に、はん旒旗りゅうき大旆たいはいなどまんまるになって中軍を固めた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒布につつまれた柩車きゅうしゃと、白い旗やはんを立てた寂しい兵列が、哀愁にみちた騎馬の一隊にまもられて、ひそかに長安のほうへ流れて行った——という知らせが物見の者から蜀の陣に聞えた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、驚いて見あげると、日月の旗、龍鳳りゅうほうはん黄羅こうらの傘を揺々ようようと張らせ、左右には、金瓜きんか銀斧ぎんふの近衛兵をしたがえた自称帝王の袁術えんじゅつが、黄金のよろいに身をかためて、傲然ごうぜんと見おろしていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)