左官さかん)” の例文
がねのような声。グイと握った二つ折りの手拭で、ヒョイと鼻の頭をこすりながら、このとき膝をすすめたのは、長屋の入口に陣どっている左官さかんの伝次だ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「それじゃあ、その男というのがこの辺にいるんでしょうか。」と、となりの左官さかん屋のむすめが訊きました。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かおをしかめて、春重はるしげ見守みまもったのは、金蔵きんぞうあにイとばれた左官さかん長吉ちょうきちであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
家の外では、左官さかんやペンキ屋が、足場あしばをきずいて、家のまわりをっていますし、中では女中じょちゅうたちが、窓ガラスをきれいにふいています。みなとでは、帆船はんせん汽船きせんをさかんに修理しゅうりしています。
種々雑多の職人、例えば筆結ふでゆい墨師すみし弓矢師ゆみやし絃師つるし襖師ふすまし表具師ひょうぐし土器師かわらけし焼物師やきものし笠縫かさぬい簑作みのつくり石切屋いしきりや左官さかん櫛挽くしひき蝋燭屋ろうそくやなども、みな穢多の支配の下におったものだと言っております。
ガラッ熊、鳶由とびよし左官さかんの伝次——この三人の働きが、いちばんめざましい。鍬をふるい、つるはしを振りかぶり、鋤を打ちこんで、穴は、見るまに大きく掘りさげられてゆく。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
左官さかんの伝次が犬猫の爺さんをきめつけたとき
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)