みさき)” の例文
近くにのちしま、かなたにかがみさきも望まれて、いさましい漁師たちの船が青い潮に乗って行くのも、その島やみさきの間でしょう。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それよりこの小径が二つに分かれて一はみさきの背を通してその極端に至り一は山のむこうに下りてなの字浦に出る。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
門の裏側の若蔦の群は扉を横匍よこばひに匍ひ進み、みさきと崎にせかれて、その間に干潮を急ぐ海流の形のやうでもあり、大きくうねりを見せて動いてゐる潮のやうでもある。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
さていよいよ猟場に踏み込むと、猟場は全くみさき極端はずれに近い山で雑草荊棘けいきょくい茂った山の尾の谷である。僕は始終今井の叔父さんのそばを離れないことにした。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
元がみさきであるから山も谷も海にかぎられていて鹿とてもさまで自由自在に逃げまわることはできない、また人里の方へは、すっかり、高い壁が石で築いてあって畑の荒らされないようにしてあるゆえ
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)