少時せうじ)” の例文
僕は少時せうじ国芳くによし浮世絵うきよゑにこの話の書いたのを見てゐたから、「吉原八景よしはらはつけい」だの「黒髪」だのよりも「石の枕」に興味を感じてゐた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何となく心重くなりたれば夜具の袖を挙げて一たび払ふに、大鬼小鬼其影を留めず消え失せぬ。少時せうじにして喧笑放語傍若無人ばうじやくぶじんなる事、前の如し。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
かれたゞ空腹くうふくしのため日毎ひごと不味まづくちひてうごかしつゝあるのである。疎惡そあく食料しよくれう少時せうじからおつぎのにもくちにもじゆくしてるので、其處そこにはなんこゝろかなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かう云ふ年頃の Homo-Sexuality は格別珍らしいことではない。二十世紀に生れた我々さへ、少時せうじの性慾生活をふり返つて見れば、大抵一度は美少年に恍惚とした記憶を蓄へてゐる。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)