小舎人ことねり)” の例文
すると、突然ある日、そのころ筑後ちくご前司ぜんじ小舎人ことねりになっていた弟が、盗人の疑いをかけられて、左のひとやへ入れられたという知らせが来た。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とおっしゃって、調使丸ちょうしまるという召使めしつかいの小舎人ことねりをくらのうしろにせたまま、うまって、そのまますうっとそらの上へんでおきになりました。下界げかいでは
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
中には金魚が落雁らくがんを食ったような美少年も多く、南方先生「大内の小さ小舎人ことねりててにや/\」てふ古謡をおもい起し、寧楽なら・平安古宮廷の盛時を眼前に見る心地して
そして黙々と山林を逍遥しょうようしていたが、やがて、むすめ達のつぼねへ、小舎人ことねりを走らせて
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
垢のつかない布垂衣ぬのひたたれなど着ていると、よく、東国あずまのえびすの子と、からかわれていた彼も、近ごろでは、どうやら、大臣邸の小舎人ことねりとして、世間なみの召使には見えるようになっていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小舎人ことねりが中で腰をのばした。紅い桜の実を烏帽子えぼしのなかへ拾っているのだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青侍あおざむらい一名と、小舎人ことねり三人ほど、召し使っていた。