小禄しょうろく)” の例文
相手は武家、それも小禄しょうろくの御家人だけに、うるさいことを言いそうで、江島屋鹿右衛門少なからず恐れをなして居るのです。
いやしくも、正真正銘の大名が乗る金鋲駕籠きんびょうかごだったら、どんな小禄しょうろくのこっぱ大名だっても、お家の紋がねえはずあねえよ。
総じて、尾張半国の小藩にすぎない織田家は、君臣ともに、質素で財力もとぼしかったが、わけて浅野又右衛門は、小禄しょうろくな弓組の一家士でしかなかった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如何いかなる事にも不平をんで、チャント小禄しょうろくやすんじて居たのは、時勢のめに進退不自由なりし故でしょう。私は今でもひとり気の毒で残念に思います。例えば父の生前にう云う事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「家へ帰ってマザーに訊いて見たら、御家人は小禄しょうろくながら直参じきさんだそうだ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかもそれが、人をして泣かしめ、小禄しょうろくの士をしてすら、時あらばよろこんで死なんの思いを内に誓わせている。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光秀は庫中の金銀をことごとく取り出させた。そして部下の賞与や寄附や治民の費用に惜し気なくいた。小禄しょうろくの者にすら数百両ずつ与え、上将たちの賞賜しょうしには、三千両、五千両とけ与えた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)