對岸むかうぎし)” の例文
新字:対岸
雇女が一人三疊へ入つて來て、濡れ縁へ出て對岸むかうぎしの紅い灯を眺めながら、欄干を叩いて低く喇叭節を唄つてゐたが、藪から棒に
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
やがてまちちかい、すゞはしが、河原かはら晃々きら/\しろい、みづあをい、對岸むかうぎしくらい、川幅かははゞよこつて、艷々つや/\一條ひとすぢかゝる。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ああ身を切るほどつめたい河水を對岸むかうぎしを目あてにして
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
隨一の名妓と唄はれてゐる、富田屋の八千代の住む加賀屋といふ河沿ひの家のあたりは、對岸むかうぎしでも灯の色が殊に鮮かで、調子の高い撥の音も其の邊から流れて來るやうに思はれた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あああの對岸むかうぎしの美しいことよ
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)