じん)” の例文
さながらしんとして幾千じんの淵に臨んだ気持がする。私は驚きと怖れに魂消たまげて、覚えず激烈な臭いのため顔を背けた。町や、沙山すなやまは目の下になっている。
暗い空 (新字新仮名) / 小川未明(著)
名所圖繪をひもときても、其頃はみち嶮に、けいあやうく、少しく意を用ゐざれば、千じん深谷しんこくつるの憂ありしものゝ如くなるを、わづかに百餘年を隔てたる今日こんにち棧橋かけはしあとなく
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)