寒気さむさ)” の例文
旧字:寒氣
明後日あさッて初酉はつとりの十一月八日、今年はやや温暖あたたかく小袖こそで三枚みッつ重襲かさねるほどにもないが、夜がけてはさすがに初冬の寒気さむさが身に浸みる。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
明後日が初酉の十一月八日、今年はやや温暖あたたかく小袖を三枚みッつ重襲かさねるほどにもないが、夜がけてはさすがに初冬の寒気さむさが感じられる。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
とにかく寒気さむさと虫類のウジウジ押し寄せるので、吾輩はいかに日中の疲労つかれがあっても容易に眠る事は出来ず、早く夜が明けてくれればいいがと待つばかり。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
此寺こゝの僧どもは寒気さむさに怯ぢて所化寮しよけれうに炉をや囲みてあるらん、影だに終に見するもの無し。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
四人は今更のように庭を眺め、空を仰いで、日毎に襲い来る冬の寒気さむさ染々しみじみと感じた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
春も三月と言えば、すこしは、ポカついて来ても好いのに、此二三日の寒気さむさは如何だ。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
また此の重三郎の親父は梨子売を致す重助と申す者で、川崎在の羽根田村に身貧に暮して居りまするが、去年の暮から年のせえか致して寒気さむさあたる、疝気せんきが起ったと見えまして寝て居ります。
明後日が初酉の十一月八日、今年は稍温暖あたゝかく小袖を三枚みツつ重襲かさねる程にもないが、夜が深けては流石に初冬の寒気さむさが感じられる。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
風はそよとも吹かぬが、しみるような寒気さむさが足の爪先つまさきから全身を凍らするようで、覚えず胴戦どうぶるいが出るほどだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
腰をおろしてさてほッと息をくと、彼女かれは今更のように骨に寒気さむさを感じた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
重太郎も骨に沁むような寒気さむさを覚えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)