寅年とらどし)” の例文
隆吉の姿がいまではぼやけてしまって、風船のように、虚空こくうに飛んでしまっている。——与平も千穂子も寅年とらどしであった。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
絵は有合せの書物や雑誌を題材にしたスケッチで寅年とらどしにちなんだ張子はりこの虎の絵が多かった。中々よく出来たのもある。
申年さるどしの善光寺の地震が大きかったなんて言ったってとても比べものにはなりますまいよ、ほら、寅年とらどし六月の地震の時だって、こんなじゃなかった。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
島秀之助が今日の振舞ふるまひのちに關東へ聞え器量きりやう格別かくべつの者なりとて元文ぐわんぶん三年三月京都町奉行まちぶぎやうを仰付られ島長門守しまながとのかみいひしは此人なりし同五年江戸町奉行となり延享えんきやう三年寅年とらどし免ぜらる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
高価のものの売買も当丑年うしどし限り停止ちょうじ触出し置きたれば、残りたる物は年内最早三日に相成り、形を替えるか、崩すとも仕舞切しまいきりにいたすとも、きた寅年とらどし元朝がんちょうよりは急度きっと停止申渡す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
前条のおもむき深く御憐察ごれんさつ下し置かれ、御時節柄恐れ多きお願いには候えども、御金二千両拝借仰せ付けられたく、御返上の儀も当寅年とらどしより向こう二十か年賦済みにお救い拝借仰せ付けられ候わば
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)